屋根裏王国物語 第8話 【約10ヶ月の準備期間7戚麒圈

たまに地元のお客さんに「なんでここでお店を出そうと思ったんですか?」と聞かれることがあります。

その質問を受けるたびに内心「来たかっ!」と喜んでいます笑

なぜなら、屋根裏堂がここ綾瀬にオープンしたのは中々面白い偶然が起きたからで、エピソードトークとしては中々上質なストーリーだからです。

 

そしてこの質問を僕にして下さる方曰く「ここらへんにはこういう雰囲気の喫茶店とかお店があまりないから何でここに出そうと思ったのか気になって」ということなんですが、同時に「こんな店が近くに出来てくれてうれしい」という本当にありがたいお言葉を頂けるのです。

 

ここにオープンしてくれてありがとうと言われるほど嬉しいことはないです。

地域の人に必要とされるお店が屋根裏堂の目指すべきところですからね。

 

さて、話を戻します。

 

物件探しが中々思うように進まず、このままでは目標にしていたオープン日に間に合わなくなってしまうのではないか。

そんな焦りが僕の中で芽生え始めた頃に、北千住にマーケット調査と、良さそうな物件を探しに行った時の事です。

北千住と言えば少し前に大学のキャンパスが出来て、学生を中心に駅周辺もにぎやかになってきており、住みたい町ランキングにも食い込んでくるような近年人気の地域です。

 

昔からある商店街はいまだに営業しているお店が数多く残っており、逆に新しく入ったテナントも増えてきて、まさに新旧入り混じった様相の良い意味でカオスな街です。

 

しかし、人気地域が故に、やはり競争が激しく、良い物件はその分家賃も高く、とても僕の資金では手を出せないような物件ばかりでした。

凄い所は10坪の店で家賃はそこそこでしたが、居抜き造作代はなんと400万円と言う超強気な所もありました。

それでも2週間くらいで誰かが契約していました。

 

それくらい競争率の激しい街で、とてもじゃないけど難しそうだなとあきらめかけていたのですが

「一つ隣の駅はどんな感じなんだろう」と言うふとした疑問から、北千住の散策終わりの18時頃に綾瀬に降り立ちました。

 

そしてネットで調べて一番上にヒットしたカフェに行ってみました。

そこが、後に屋根裏堂になるお店なのですが、店内に入ると内装のイメージが僕がやりたかった物に大分近いものがありました。

 

 

「良い雰囲気のお店ですね。僕も実はこんな感じの店をやりたくて、今物件探ししてるところなんですよ」

「そうなんですか?どんな店にするんですか?」

「こうでこうでこうなお店にしようと思ってます」

「なるほど。実は、うちは逆にそろそろ閉めようと思ってるんですけど、ここはどうですか?」

「えっ」

 

 

こんな感じのやり取りを経て、その後も何回かオーナー夫妻と話し合いを行い、ついに契約する事に決めました。

 

前回のブログでも書いた通り、全てが理想の条件の物件ではなかったのですが、全てを拾っては進めないと悟った事、そしてこの運命的な偶然に何か感じ入るものがあった事、というのが最終的な決断の理由になりました。

 

今回の契約は間違いなく人生で一番高い買い物になりました。

そしてそれを実感させるかのように、契約書には大量のハンコを押すことになり

「このハンコで大金が動くんだな」と考えると少しドキドキもしました。しかし、何とか無事契約も完了。

 

ちなみに、この契約を結ぶ前に、実家の両親にも時間を貰ってじっくりと事業計画を説明する時間を設けました。

結果的に、ちゃんと本気さが伝わってくれて、その後も色々なところでサポートしてくれるようになったのですが、やはり家族にもちゃんと説明して理解してもらうというのは凄く大事なことだなと感じました。

 

それはある意味誠意なのかなと思います。

 

 

 

「契約書にハンコを押すまでは油断してはいけない」

 

 

とは、僕がお世話になっていた開業コンサルの方の言葉でしたが、まさにその通りでした。

 

と、言いますのも、実は物件の申し込みをしている段階で、別の人からも申し込みが入るという、所謂「競合」が起きてしまったのです。

つまり、同じ物件を狙うライバルが登場したということですね。

 

僕としては、せっかく腹をくくってここでやると決めた物件だったので、何としても決めたいと思っていました。

(相手も当然同じ事を思っていたでしょう)

 

とにかく、これまで進めてきた金額の交渉に暗雲が立ち込めてしまったのです。

オーナーとしてはより高く買い取ってくれる方に売りたいですよね。

 

ここら辺の話はあまりにも生々しすぎるお金の話になるので、さすがに詳しい内容は伏せておきますが、最終的に契約できたのはもちろん僕で、さらに、慎重に交渉を話し合いを繰り返して、想定していた金額以内で何とか収めることも出来ました。

でも、ここは本当に神経を使いました。

もしかしたら今頃は屋根裏堂ではない別の店だった可能性もあるということですからね。

 

だからこそのハンコの重みもありました。

 

 

 

ともあれ、物件探しと契約までたどり着くことの難しさを我が身で体験出来たのは、大きな経験になりました。

思えばオープンするまでの1年間は選択の連続でした。

しかもその1つ1つの選択が今後の自分に大きくかかわってくる大事な選択ばかり。

 

無数の分岐を繰り返してようやくたどり着いた形が今の「珈琲と日常の屋根裏堂」という店なんだと思うと感慨深いものがありますね。

 

これからも沢山の選択が待っているわけですが、その全てが同じくらい重たい物だと思うと、失敗するのは仕方ないにせよ、せめて後悔しない選択肢を選び続けていきたいものです。

 

 

 

次回 屋根裏王国物語 第9話 【約10ヶ月の準備期間ど要書類や諸々の手続き編】 11月2日 更新

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